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2020年5月29日 (金曜日)

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する免疫がつくとはどういうこと? 免疫学講座4(ウイルス感染局所のT細胞応答)

みなさん

なんだか、また少し新型コロナ感染が、ぽっぽっと観られるようになりましたね。まだそんなに強いウイルスじゃないだろうけど、まぁ人の多い所に行くような時はまだまだ気をつけた方が良さそうですね。私は、自分のブログをパソコンでしか書かないし、記事を更新してもパソコンでしか観ないんですけどね。初めて自分のブログを携帯で観てギョッとなりました。このブログをパソコンのブラウザで観ると、背景を暗い色にしているので、薄い黄色なんかの文字はいい感じで読めるんですけど、スマホとかで白い背景で観ると、薄い黄色の文字部分は… こりゃー読めません。すみません。気がつかなくて… 今更どうにもならないけど… 知りたい見出しの記事があれば、どうかパソコンのブラウザで観てくださいね。今日は全部読める色で書きまする…

これまでの3回の記事で、T細胞やB細胞のウイルスに対する獲得免疫応答が、だいぶ解ってきたんじゃないですかね。T細胞のウイルスタンパク質に対する特異性を決めているのは、HLA(Human Leukocyte Antigen)クラスI分子(体の細胞のほぼ全てが出している)とクラスII分子(DCやマクロファージ などの抗原提示細胞だけが出している)でしたね。ヒトではクラスI分子にはHLA-A, B, Cがあって、クラスII分子にはHLA-DR, DP, DQ分子があって、マウスではクラスI分子にはH-2K, H-2D, H-2L分子があり、クラスII分子にはH-2A (I-A), H-2E (I-E)分子があります。これらの分子は総称してMHC(Major Histocompatibility Complex: 主要組織適合性複合体)と呼ばれています。他人(同種異型を学問的にはアロと言います)の血液や臓器の移植では、T細胞による拒絶反応が起こるんですが、35年くらい前に一番強い移植拒絶に関わる分子を特定し、それをMHCと名付けたわけです。それで、30年くらい前に、初めてHLAクラスI分子の結晶構造解析が行われたんですね。懐かしいなぁ、横浜で行われた国際学会で、解析したチームが結晶を持ってきて、みんなに自慢気に見せてました。その解析結果で、HLAクラスI分子は、細胞の外に出ている部分が3つのドメインという異なった構造部分からなり(一番外からα1, α2, α3ドメインと名前がついています。α3の次が細胞膜を貫通するドメインで、その次に細胞質内のドメインと続きます)、α1とα2ドメインからなる構造は、明らかに何かが入りそうなポケット構造になっていることが明らかとなりました。MHCクラスI分子のα3ドメインには、β2ミクログロブリンというタンパク質がくっついていて複合体になっています。一方HLAクラスII分子は、細胞外にα1, α2ドメイン、その次に細胞膜ドメイン、細胞質内ドメインとつづくα鎖と、細胞外にβ1, β2ドメイン、その次に細胞膜ドメイン、細胞質内ドメインとつづくβ鎖とがくっついた複合体で、DCやマクロファージの上に出ていて、その一番外側のα1とβ1ドメインがポケット構造を作っています。ウイルスを食べたり、ウイルス感染を受けた細胞上のMHCクラスI分子とクラスII分子のポケットには、ウイルスタンパク質の断片が入り、それをT細胞はMHCと共に認識するというのがわかったのは、今から25年くらい前のことです。

気管支の上皮細胞にウイルスが感染すると、上皮細胞はウイルスタンパク質断片入れたHLAクラスI分子を表現させると共に、警告としてのサイトカインを放出します。この警告サイトカインにより、ウイルスを食べて、ウイルスタンパク質断片をHLAクラスIおよびクラスII分子のポケットに表出させたマクロファージが、ウイルス感染を受けた上皮細胞の周りに集まってきます。一方、ウイルスを食べた後、ウイルスタンパク質断片をHLAクラスIおよびクラスII分子のポケットに表出させたDCは、リンパ節内でウイルス特異的ナイーブT細胞を刺激し、刺激されたT細胞は分化と共に活性化し、キラーT細胞やヘルパーT(Th)細胞となり、リンパ節を離れ、血液やリンパ液に乗って全身を巡るようになります。ウイルス特異的なTh細胞が、気管支の上皮細胞周辺に集まってきたマクロファージ上の、HLAクラスII分子に乗っかったウイルスタンパク質断片を認識すると、キラーT細胞を助けたり、マクロファージをさらに呼び寄せたりするような強いサイトカインの産生が起こります。ウイルスに感染した上皮細胞に出ているHLAクラスI分子のポケットに入ったウイルスタンパク質断片をキラーT細胞が認識すると、キラーT細胞は細胞を殺す物質(グランザイムBという物質が知られています)を感染細胞に注入し、感染細胞を死滅させます。

分子の詳しい記述が出てきて、難しくなってきましたが、第一話から何度も読めば必ず理解できますから、これからも一緒に新型コロナウイルス感染症で起こる基礎的な免疫応答を考えていきましょうね。

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