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2020年5月19日 (火曜日)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で、自然免疫(Innate Immunity)と獲得免疫(Acquired Immunity)はどのような活動をしているの? その3

みなさん

なんかやばいなぁ… 新型コロナが収束すると共に、本来の仕事をやる気がなくなってきました… ダメェだぁ… 私はね、昔から協調性が足りなくて、そのことで信じられないくらい上の人から怒られてきたのですね。今では、パワハラ認定だと思いますけど… まぁそんなことはどうでもいいですけど、いかん… この新型コロナ感染症では『本当なのかな』と首をひねるような記事も目にしますね。例えば、ロシアを代表するTass通信では、『新型コロナウイルスに一番感染しやすい人の血液型はA型で、その後O型、B型と続き、AB型の人が一番抵抗性がある』と言っています。本当かなぁ… 日本も、免疫学といえばある有名な先生がしょっちゅう出てきますけど、あらゆる文献を網羅すると『間違っているよなぁ』と思うことを多々発言しているし… マスコミの人は、新しい感染症のような学問的にまだ何もわからない未知のパンデミックでは、学者一人の意見を聞いて満足するんじゃなくて、自分自身でもいろいろ勉強して分別をつけられるようにした上で、いろんな学者の意見を聞いて、真実を抽出して欲しいですね。いかん、愚痴になってる… 😞

さて、前々回の記事では、新型コロナ感染症の病態と共に変わる免疫状態に関する論文を二つ紹介しましたね。

①の論文では、全身で起こっている免疫応答を調べていて、重症度の上昇と共に

A: 獲得免疫細胞のT細胞(サイトカインを産生するCD4という分子があるT細胞と、感染細胞を殺す役割があるCD8分子を持つT細胞について観ています)の数がどんどん減り疲弊マーカー(PD-1分子やTIM-3分子で観ています)を持つようになる。

B: ICUに入った感染者はIL-6のレベルが上昇するけれど、ICUに入らないで済んだ人は、IL-6レベルが上がらない。

と言っています。これらの結果は、サイトカインストームが重症化に特化した現象であると共に、重症化では獲得免疫細胞が死滅していくことを間接的に教えてくれます。

②の論文では、気管支の局所で起こっている免疫応答を調べていて、

C: 獲得免疫細胞で感染細胞を殺すことができるT細胞や抗体を産生するB細胞、さらには、自然免疫細胞で感染細胞を殺す役割を持つナチュラルキラー(NK)細胞がmoderate患者では増えているが、severe患者では劇的に減る。

D: 感染細胞やその死骸を食べ、IL-6などのサイトカインストームの原因となる炎症性サイトカインを強く産生する自然免疫細胞のマクロファージや好中球はsevere患者で増え、好中球を呼び寄せる役割があって、炎症に関係しないような自然免疫細胞のマクロファージは、moderate患者で多い。

E: moderate患者のT細胞は感染細胞に特異的なT細胞が多くを占めていると考えられる(クローン性が観られる)のに対して、severe患者のT細胞は、特異性が無さそうに見える(クローン性がない)。

F: moderate患者の細胞は炎症を調節する遺伝子の発現が高いのに対して、severe患者の細胞は、サイトカイン産生に関する遺伝子の発現が高い。

と言っています。さすが、Nature Medicineです。解析した結果から学べる点が多いですねぇ〜 CはAの結果に似ていますが、DやFとも併せて考えると、局所での感染細胞を殺す免疫応答は、発症から1週間くらいの穏やかな病態を示す時期にはきちんと機能していて、サイトカインストームに関係するIL-6などのサイトカインが激しく産生されないようにきちんと調節されていることがわかります。だからこの時期で治癒することもあるのですね。でも、重症化した感染者の局所では、もはや獲得免疫細胞は機能せず死滅して、代わりにサイトカインストームを起こす免疫破綻状態となって、調節が効かず、IL-6などのサイトカインの強い産生を促す環境に変化していることがわかります。

Eですけど、体にあるたくさんのT細胞は、T細胞抗原リセプター(TCR)というタンパク質でウイルス感染細胞であればウイルス由来のタンパク質を認識します。1個のT細胞には1種類のTCRがあり、体の中には計算上10の18乗個の異なるTCRを持ったT細胞がいて(実際は計算上の数よりは少ないT細胞がいます)、地球上に存在するほとんど全ての異種タンパク質はたくさんいるT細胞のどれかに認識されるようになっています。ですから、新型コロナウイルスに感染した気管上皮細胞は、たくさんあるT細胞の中の結合できる数個だけが認識することができ、その数個のT細胞が、感染した気管上皮細胞をTCRで認識すると、爆発的に増えて感染細胞を殺すんです(わずか数個のT細胞が増えたかどうかは、TCR遺伝子が同じものばかりになるかどうかで調べられます。これをクローン性と言います)。したがって、気管洗浄液中のT細胞にクローン性があるということは、気管の感染細胞を認識するわずか数個しかいないT細胞がきちんと増えていることを示し、クローン性がないということは、もはや気管上皮細胞を認識できるT細胞がいないという可能性が考えられるわけです。難しいですが、新型コロナ感染症で、発症から1週間くらいの穏やかな病態を示す時期に、特異的なT細胞がきちんと機能し増幅していることが、T細胞のクローン性を観るだけで予測できるのです。

ということで、5月9日の記事での新型コロナ感染症の病態変化における私の免疫動体予測では、①、②、④はほぼ当たっていたことになり、サイトカインストームの起こる機序の③だけがまだわからないという結果になりました。

わかりやすく解説すると言っておきながら、難しかったかもしれませんが… まだまだ一緒に考えていきましょう。

また、勉強してきまーす!

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