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2020年5月24日 (日曜日)

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する免疫がつくとはどういうこと? 免疫学講座1(一次リンパ組織と二次リンパ組織)

みなさん

このブログでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連した主に免疫学的な観点からの記事を4月から書き続けていますが、書き始めた頃は、世界がこの感染症を危機として捉え、論文やら記事やらがどんどん出始めた時で、その急速な流れに押される感じで、基礎的な解説がほとんど無く記事を進めてきました。とにかく『サイトカインストームによる肺炎(全身性の炎症ですね)の治療に向かって欲しい』一心で、緊急性から『医療関係者や専門的な人達に理解されればいいや』なんて気持ちもあって… でも最近、いろいろな方が向学心から読んで頂いているのを知ったので、これから、第二波までの静寂期(こういう言い方があるのか分かりませんが。第二波がないことを祈りますが…)は、感染症学と結びつく基礎的な免疫学について少しずつ書いていこうかと思います。😃

このブログでは、これまでほとんど獲得免疫細胞のB細胞が放出する抗体についての記載はありませんでしたね。理由は、ほとんどの人が発症後に重症化せずに治癒する新型コロナ感染症では、治癒に自然免疫とT細胞による獲得免疫細胞が関係していて、抗体による免疫はほとんど関わっていないと考えられたためです。重症化した後回復した人は、きっと抗体も活躍した結果だと思いますが… 新型コロナ感染症を含めウイルスによる感染症ならなんでも、T細胞検査というのができれば一番いいんですが、そういう方向性にはなりませんね(5/19の記事のT細胞のクローン性を観るなど方法はあると思いますが。将来的にはウイルス感染症の検査法の一つになるんじゃないかな…)。

T細胞もB細胞も骨髄(骨の中心部分)の造血幹細胞を由来として、分化という性質変化の過程を経て造られます。簡単に言うと、造血幹細胞が胸腺という心臓の上の方にある臓器を通るとT細胞になります。胸腺は英語でThymusと言い、そこで作られるのでT細胞と呼ばれるわけです(骨髄や胸腺は一次リンパ組織と呼ばれます)。胸腺では、自分のタンパク質(自己)に反応するT細胞が除かれて出てきます、ですから、健康な人はそう簡単に自己免疫疾患のような病気にならないわけです。胸腺を出た時はまだ未熟なナイーブT細胞と呼ばれる何もできないT細胞なんですが、5/19の記事で書きましたが、この時既に、一個一個のT細胞は違うT細胞抗原レセプター(TCR)を持っていて(認識するタンパク質断片が一個一個異なるということです)、CD4という分子を発現していると、ウイルス感染細胞の認識でサイトカインという生理活性物質を放出するヘルパーT(Th)細胞になるように運命付けられた細胞として、CD8という分子を持っているとウイルス感染細胞やがん細胞を殺すキラーT細胞(細胞傷害性T細胞:Cytotoxic T Lymphocyte (CTL)とも呼ばれます)になることを運命付けられた細胞として、まずリンパ節や脾臓といった二次リンパ組織に留まります。

イムノグロブリン(Ig)はみなさんもご存知の抗体(Ab: Antibody)と呼ばれているものですがB細胞から造られます。B細胞は、鳥類のファブリキウス嚢(Bursa Fabricii)という器官で造られることが最初知られたためにB細胞と名付けられましたが、ヒトでは骨髄で造られます。IgにはIgD, IgM, IgG, IgA, IgE(IgAとIgEについてはずーっと後に話題にするかもしれませんが、しばらくは、IgD, IgM, IgGについて話します)などの型があって、最初は膜結合型のIgMもしくはIgDがB細胞の表面にあるのですが、ウイルスなのど異種タンパク質(抗原)の刺激を受けると、クラススイッチと呼ばれる遺伝子の再構成により、IgG型に変わります。それはまた詳しくお伝えしますね。B細胞もT細胞と同じく、一個一個異なるタンパク質などの分子(糖鎖や脂質さえも認識します)を認識する膜結合型のIgMやIgD(B細胞抗原リセプター(BCR)と言ったりします)を表現しており、自己反応性の危ないB細胞は、骨髄での分化の過程でその多くが除かれます(B細胞はリンパ節移行後も自己反応性のものが除かれています)。骨髄を出たB細胞は、まずリンパ節や脾臓といった二次リンパ組織に留まります。

ナイーブT細胞もIgMやIgDを表現したB細胞(ナイーブB細胞と呼ぶ人もいます)も、最初二次リンパ組織に集まりますが、そこではきちっと住み分けがされていて、それぞれ濾胞を形成し、それをT細胞領域やB細胞領域と呼んでいます。

本日はここまでね。またお勉強しましょう。

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