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2020年5月15日 (金曜日)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で、自然免疫(Innate Immunity)と獲得免疫(Acquired Immunity)はどのような活動をしているの? その2

みなさん

やっと日本の新型コロナ感染(COVID-19)も、第一波を抑え込んだと政府が判断し、緊急事態宣言が解除の方向になりましたね。まぁ私は、この新型コロナの感染が怖いなんて気持ちは無く、第二波や第三波に備えむしろ感染しておきたいなぁ〜なんて気持ちもあったりして、Stay Homeは一応してましたけど、新型コロナの情報やら文献やらを掻き集めては読み耽り、論文も書いたりして勝手に忙しかったので、『あ〜あ、第一波が終わっちゃうなぁ〜』なんて、ちょっと寂しい気持ちになってます😞。不謹慎だと怒られそうですけど、まぁ我が儘で他人の気持ちを察せない学者ですから、どうかお許しくださいね。

さて、前々回の記事では、この新型コロナ感染症の、発症から1週間目までは穏やかに進行し、その後重症化した場合に、2週間前後でサイトカインストームによる急性肺炎が起こり死に至る、という病態で、BCG接種によって活性化する自然免疫と、感染細胞を特異的に認識し強力に排除するT細胞による獲得免疫がどのような活動をしているのか、大まかですけど、確実にポイントを押さえてお伝えしました。解りにくかったですかね。まぁでも、自然免疫や獲得免疫の基本的なことは、4月からずーっと書いてきたので、解って頂いているものとして、少しずつ前々回の記事を深めていきたいと思います。

COVID-19に関する英語の論文を観ると、発症から1週間くらいまでの穏やかな時期をmoderate(穏健な)、重症化をsevere(重度)と感染者を分けて病態を観察している場合が多いです。このブログでもリンクをクリックすると英語の記事やら論文が出てきて、severe pneumonia(重症肺炎)なんて言葉がたくさん登場しますよ、読んでみてくださいね。前々回の記事の仮説が正しいかどうかは、現状では二つの論文から窺い知ることができます。一つは、① Frontiers in Immunologyという免疫学の雑誌に掲載された論文で、Download Articleを押すと論文を見ることができます。もう一つは、② Nature Medicineという有名な医学雑誌に掲載された論文です。

①の論文では、新型コロナ患者をmoderate、肺炎、重症度の度合いやICUに入ったか入らなかったかで分け、それぞれの患者血液サンプルの免疫細胞を見ています。血液サンプルですから、体全体での変化を知ることができますね。それによると、重症度が上がるにつれて、獲得免疫細胞のT細胞(サイトカインを産生するCD4という分子があるT細胞と、感染細胞を殺す役割があるCD8分子を持つT細胞について観ています)の数がどんどん減って、疲弊マーカー(PD-1分子やTIM-3分子で観ています)を持つようになること。ICUに入った感染者はIL-6のレベルが上昇するけれど、ICUに入らないで済んだ人は、IL-6レベルが上がらないことが解ります。

②の論文では、新型コロナ患者をmoderate群とsevere群に分け、健常人をコントロールに、それぞれ気管支洗浄液から免疫細胞を取ってきて、含まれた一つ一つの細胞の情報から免疫細胞を特定して解析しています。すごいですね。気管支洗浄液ですから、局所の免疫応答を知ることができますね。この論文は、獲得免疫細胞で感染細胞を殺すことができるT細胞や抗体を産生するB細胞、さらには、自然免疫細胞で感染細胞を殺す役割を持つナチュラルキラー(NK)細胞がmoderate患者では増えているが、severe患者では劇的に減ること、感染細胞やその死骸を食べ、IL-6などのサイトカインストームの原因となる炎症性サイトカインを強く産生する自然免疫細胞のマクロファージや好中球はsevere患者で増え、好中球を呼び寄せる役割があって、炎症に関係しないような自然免疫細胞のマクロファージは、moderate患者で多いこと、それに大変重要なことは、moderate患者のT細胞は感染細胞に特異的なT細胞が多くを占めていると考えられるのに対して(クローン性があるということなんですが、これについてはまたお伝えしますね)、severe患者のT細胞は、特異性が無さそうに見えること、さらには、moderate患者の細胞は炎症を調節する遺伝子の発現が高いのに対して、severe患者の細胞は、サイトカイン産生に関する遺伝子の発現が高いこと、を教えてくれます。

難しいですねぇ😖 これらの論文の解りやすい解説はまたの機会にお伝えしますね。

お楽しみに〜😵

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