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2020年5月31日 (日曜日)

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する免疫がつくとはどういうこと? 免疫学講座5(抗体の交差反応性とB細胞の長期記憶)

みなさん

5月13日の記事でね、2002年から2003年にかけて流行ったSARSウイルス(正式名称名称SARS-CoV: この記事ではSARSコロナウイルスと言いますね)に感染して回復した人は、今回のSARS-CoV-2(COVID-19感染症の原因ウイルス: この記事では新型コロナウイルスと言いますね)には感染しないんじゃないかなぁ〜なんてことを書きました。SARSコロナウイルスと新型コロナウイルスとはタンパク質の相同性が高いですからね。免疫学者なんてこんなことをいつも考えているんですけどね。大変興味深い論文が5月18日にnatureから出ましたよ

5月27日の記事で、B細胞は一つ一つの細胞が、違う結合性(特異性)を持つ抗体を放出すると書きましたね。ウイルス感染から回復した人は、特異性の違う抗体を産生するたくさんのB細胞の中で、ウイルスやウイルス感染細胞の活動を阻害する抗体を産生するほんの数個のB細胞が増えているわけですね。しかもウイルスに刺激を受けたB細胞は記憶細胞となり、何十年にも渡り維持されます。natureの論文で著者らは、SARSコロナウイルスに感染して回復した人からB細胞を取ってきて、そのB細胞を不死化(死なないようにがん化させます)させて、25個の異なる不死化B細胞から放出される特異性の異なる25種類の単クローン抗体(不死化させた1個のB細胞からは1種類の抗体が放出されます。これを単クローン抗体と言います)を取ってきて、その新型コロナウイルス自体やその感染細胞に対する結合性や、新型コロナウイルスの感染性への影響を観ています。結果は、一つの抗体が、SARSコロナウイルスばかりでなく、新型コロナウイルスの上皮細胞への感染を中和する抗体(4月28日の記事に書きましたが、SARSコロナウイルスも新型コロナウイルスも、表面にあるスパイクタンパク質が上皮細胞のACE2というタンパク質にくっついて上皮細胞内に侵入するのですが、一つの抗体は両方のウイルスのスパイクタンパク質に結合して、ウイルスが上皮細胞に侵入できないようにする阻害性がある抗体だということです)であり、その他の3~4個の抗体は、新型コロナウイルスに感染した上皮細胞を認識する抗体であり、これら全ての抗体が強調すると、新型コロナウイルスの感染低下に大きな影響を及ぼす、というものです。

面白いですねぇ、SRASコロナウイルスに感染して回復した人の中には、SARSコロナウイルス感染を防御する抗体を放出するB細胞が17,18年経った今でも維持されていて、それが、新型コロナウイルスの感染防御にも働くみたいですね。このように2種類のウイルスなどの異物に結合する抗体のことを、交差反応性があると言います。きっと、SARSコロナウイルス感染で回復した人は、新型コロナウイルスに第一波でも第二波でも第三波でも感染しないでしょうね。

まだまだたくさん一緒に勉強しましょう。

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