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2020年4月の10件の記事

2020年4月28日 (火曜日)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療で、日本もやっと重症化に焦点をおきはじめましたね。

みなさん

COVID-19問題では、このままでは医療崩壊も間近と言うことで、やっと日本も本格的に重症化した患者さんへの対応の強化を始めるようですね。よかったです〜 今回の新型コロナ問題でのこのブログの役目もそろそろ終わりかな。軽症の患者さんを自宅療養に完全に変えるのであれば、検査をして新型コロナ感染であることを明らかにした上で、呼吸が苦しいなどのどの段階で、保健所や病院に連絡を入れるのか、そこのところを国民にしっかり伝えてほしいですね。サイトカインストームは急速に進行するので、手遅れにならないように、ですね。

北海道大学と量子技術研究開発機構というところが、新型コロナでの肺炎の原因となるサイトカインストームの機序を提唱していて、それによると、ちょっと難しいですけど新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が感染して体内で増幅すると、ウイルスが肺や気管支の上皮細胞に侵入する際にくっつくアンジオテンシン転移酵素2(ACE2: アンジオテンシンIから高血圧の原因となるアンジオテンシンIIを作る細胞表面酵素)を独占するため、ACE2の発現量が低下、アンジオテンシンIIが血中で増加し(アンジオテンシンIが増加するじゃないかと思うのですが…)、アンジオテンシンレセプターのタイプI(AT1R)を刺激することによる細胞内シグナルと、感染細胞がウイルスの核酸(1本鎖RNAですね)を認識した際にできる細胞内シグナルが、サイトカインストームの主な原因となる生理活性物質インターロイキン(IL)-6の産生増強サイクルを回すというものです。二つ前の記事の、サイトカインストームは自然免疫応答のみで起こるという前者の考え方に近いですね。この提唱理論だと、薬を飲んでいない血圧の人が新型コロナに感染したら、さらに高血圧になって危ないということと、オルメサルタンなどAT1R阻害による降圧剤を飲んでいる方は、新型コロナでは重症化しにくいという、首をひねるようなことになります。また、重症化してサイトカインストームが起こる時期が、感染後ずいぶん経ってから起こる(大体2週間ぐらいを要しているのではないかと感じます)ことの説明ができておらず、新型コロナ感染で見えてきた自然免疫優位な小児での重症化率が低い理由も説明できていませんので、T細胞などの獲得免疫が絡む機序が含まれるなど、新型コロナでの急性肺炎の機序はもう少し複雑なんだと思います。

日本高血圧学会が声明を出していて、簡略すると高血圧とCOVID-19の関連は統計学的には証明されていないので、薬を処方されている方はそのまま飲み続けてください、と言っています(新型コロナ感染症では、最初の頃高血圧がリスクファクターと言っていましたが、高齢者(高血圧の多い群)で死亡する方が多いのでそう言われただけで、今では日本高血圧学会の声明の考え方が世界の主流になっています)。高血圧の方は少しホッとされる情報ですね。

4月17日の記事でも書いた、トシリズマブやルキソリチニブを使うようになるのか、何を使っているのかわかりませんが、日本も既に急性肺炎への既存薬での治験を開始したようですね。ほんとよかったよかった。

また勉強してきま〜す。

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2020年4月26日 (日曜日)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、日本の医者や学者が世界にもっと情報を発信してほしいです…

みなさん

なんだか気が滅入っちゃいますね… いつまで続くのでしょうか。COVID-19… 日本は資本主義を強力に推し進めてこの社会を作ってきたんですからね、経済活動をストップして、この生活の基盤を大きく崩してまでこの感染症に対応しようとしていますが… 世界の常識に習えということもわかりますが… このブログでは、今回を含めて9回にわたる新型コロナに関する記事で、生活の基盤をできるだけ崩すことなく、この感染症に対処する方法を模索してきて感染者の中の重症化して死亡する確率はそんなに高くないし、死亡する人の大半がサイトカインストームによる急性肺炎なのだから、肺炎の治療に専念するべきだ』ということを学者として訴えてきました。その過程で、私が興味を持っている新型コロナとBCG接種との関係についても色々学問的に考えましたが… ちょっと難しかったかもしれませんが、それはお許しくださいね。

とにかくね、これまで私は、このSARS-CoV-2という新型コロナウイルスで起こるパンデミック(COVID-19)に取り憑かれたように勉強してきました。読んだ関連する論文や記事の数は、優に500報は超えるんじゃないかな… そんな地味な研究生活を送っている中で、ほとんどの興味深い論文や記事は中国から発信されていて、欧米でも10%くらいかな… 日本の医者や学者からのこれまでの3ヶ月間の経験に基づく情報発信なんて、日本語でちょこちょこという感じで全く無いで 今や中国政府が、中国からの論文発信を統制する動きがありますが、その気持ちもわかるほど、ここぞとばかりに(新型コロナは自分達のウイルスだみたいに、まぁ最初がそうですが…)すごい量です。これだけ中国が情報を発信できているのは、裏を返せば、中国政府の命令で今回の新型コロナウイルスが人工的に作られたものでは無いということも見えてきますね。日本の科学の現状を考えると、これじゃ欧米中に負けるよなぁ〜と寂しい気持ちになります。私の新型コロナに対する肺炎治療の考え方は、中国やアメリカで治験が開始されていていい成績を示してきているんですから、突飛なアイデアでも無いことが証明されつつあるんですから、もっともっと日本の医者や科学者は、今回の新型コロナ感染症で得た経験を発信しましょう。医師会やら学会やら政界の目なんか気にしないで、もっともっと

ところでね、新型コロナの感染症とBCG接種との関係の考察ですが、その機序が私の中ではほぼ出来上がっています。話してもいいんですが… 今後、新規の急性肺炎治療薬への発展に繋がる学術内容が含まれていますし(新しいメカニズムの考察ですね)、実験して証明しているわけでもいないので(専門が違いますから、実験はしないと思いますが)、とりあえず総説という形で論文にしようと思っています。それが公表されてから詳しくお話しすることにしますね。

また新たな情報を入手してきま〜す。

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2020年4月23日 (木曜日)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とBCG接種との関連について考えた。 その4

みなさん

どこかの学生さんが旅行して新型コロナ持ち帰って集団感染を起こし辛い仕打ちを受けたり… 東京から地方に帰省して新型コロナをばらまいたなどと噂され叩かれたり… なんだか悪魔みたいな扱いですね… 自分のいる大学は一応自粛中ですので、まだ感染者の噂を聞きませんが、自分が第一号になるのは面倒だなぁ〜嫌だなぁ〜 などとつらつら考えております。日本も新型コロナに対する抗体を測ったら、意外に多くの人がもう抗体を持っていて、気がつかなかったぁ〜 ってなことになってるんじゃないのかな。未知のウイルスがやってくるとどうやったって早かれ遅かれ、6割から7割の方は感染しますからね。まぁあんまり感染した人に目くじらを立てるのはやめましょうよ。

人は個人個人ちょっとずつT細胞やB細胞がウイルスなどの異物を認識できるバリエーション(ウイルスに対する抵抗性)が違いますからね、中にはスーパーレジスタント(こんな学術用語はないと思いますけど)みたいな人がいて、次々に現れる新しいウイルスなどの病原体全てに無意識のうちに感染してて、発症せずあらゆるウイルスに対する抗体を無意識のうちに持っている方もいるんだろうなぁ〜 かくゆう私も、麻疹、風疹、水疱瘡、おたふく風邪に罹った記憶がないまま(親にも聞きましたが、隣に麻疹の子があれば遊びに行かせ、向かいにおたふく風邪の子がいれば遊びに行かせ、努力したけど発症しなかったねぇと言っておりました)、まぁインフルエンザは怪しいと感じたことが2回ぐらいありますが(サッと治りました)、物心ついてから記憶している最高の発熱は37.8度の1回きりで、その時は、経験したことのないとんでもない不快感で目が覚めて焦って体温測ったんですが… 午後には36度台に戻り… こんな感じでいい歳になってしまいました…😞

ここんとこずーっと、ふと我に帰ると新型コロナ感染症とBCG接種の関係について考えている自分に気がつき、いかんいかん仕事せねば… の繰り返しでございます。といっても本職も研究ですから(分野が違いますが)、論文などを検索していても、知らず知らずのうちに『sars-cov-2』『covid-19』『bcg』『innate immunity』『pediatric』なんて用語を打ち込んでいたりするのですね。幼い時に受けたBCG接種が新型コロナの感染症に威力を発揮することと、T細胞やB細胞による獲得免疫をほとんど持たない子供が新型コロナで重症化しないことが本当だったとして、諸々のことを考え合わせると、やっぱり新型コロナのようなウイルスによる感染症の重症化の抑制に、自然免疫(Innate Immunity)は重要な役割を果たしているんだろうなぁ〜と思います。

実はまだ、自分の中で組み立てて仮定したメカニズムで納得できない部分があり、今回は簡単に終わらせますが、ウイルス感染症での重症化やがんに特異的なT細胞を移入する免疫治療で起こるサイトカインストームというのは、調べてみるとその発症機序にどうも大きく分けて二つの対極的な機序があるようですよ。一つは、ウイルス自体が自然免疫を活性化することのみでサイトカインストームは起こり、T細胞はどちらかというとその炎症を鎮める役割を持つという考え方と、もう一つは、ウイルス感染細胞を排除するT細胞が、全身を巡りウイルスによる刺激を繰り返し受けた後疲弊して起こる細胞死と、ウイルス感染を受けた肺の上皮細胞の細胞死を認識した自然免疫細胞が爆発的に活性化し、サイトカインストームが起こる、という考え方です。自然免疫優位な子供が新型コロナ感染症では重症化しにくいわけですし、重症化には、感染から10日〜2週間を要しているので、新型コロナでサイトカインストームが起こる機序は前者ではないですね。新型コロナの感染で、重症化から肺炎になった患者さんは、T細胞などのリンパ球の減少が高頻度で観られることから、後者が新型コロナで起こるサイトカインストームのメカニズムであることが有力ですね。

ということで、後者の機構で起こるサイトカインストームを、自然免疫はどのように抑えているのかを深く考えてみましょう。

また勉強してきまーす。

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2020年4月20日 (月曜日)

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はコウモリを由来とし大きく分けて現在3種類あるようです。

みなさん

東京の様子など見ていると、やっぱりソーシャルディスタンスを保ち、三密を避けるを徹底するなんてことは、よっぽどの強制力でやらないと無理ですね。急速な感染拡大はしょうがないと考えると、やっぱり違う一手を打たないと… 現在日本の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)での検査した陽性者数に対する致死率は2%ちょっとですからね、大半の人は重症化しないわけですから… やっぱり死と直結する肺炎の治療に焦点を絞ればいいのになぁ〜 なんてうつらうつら考えております。

ところで、 英国のケンブリッジの研究チームが、1000サンプルぐらい使って、大規模なウイルス遺伝子の解析を行ったようですよ。どうやったらそういう結論になるのかよくわからないんですけど、確実に言えることは、一番最初はコウモリから中国の武漢の人への感染であり、そこから全てが始まって、変異を繰り返し現在大きく分けてウイルスは3種類あるようです。原型に近いのがA型、今東洋で流行っているのがB型、欧米で流行っているのがC型と呼んでいて、武漢での大流行の時には既にB型になっていたらしい… 中国が人工的に作ったウイルスではないことも証明されました。ここのサイトでPlayを押すと、ウイルスが変異しながら世界を駆け巡る様子が分かりますよ。ぜひ観てくださいね。

東洋は義務でのBCG接種国が多く、欧米はBCGを義務化していない国が多いので、もし、B型がC型に比べて少し弱いウイルスだったと仮定すると、BCGと新型コロナ感染の抵抗性とはあまり関係がないのかもしれませんね。きっと新型コロナウイルスは全ての型が世界を駆け巡り、変異しながらD型やE型になりながら、そのうちC型も何もかも日本に入ってきて、第二波、第三波があるのかもしれないので、注意深く観察する必要がありますね。こんなこと考えていると、飛行機で全世界を行き来できる便利な世の中が怖く感じますね…

また、勉強してきまーす。

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2020年4月17日 (金曜日)

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染症(COVID-19)での重症化で観られる急性肺炎をどのように対処するか。

みなさん

ここんとこずーっと分かりにくいことを書いているかもしれませんが、私は医科学者(専門は腫瘍学とがんの免疫学です)ですので、この新型コロナでの世界的危機を真剣に受け止めて、なんとか学者としての態度を示さなければと思い、つらつらと書いています。世界で行われている研究のほとんどは公的資金(税金ですね)で賄われているので、微力ながらみなさんに還元したい気持ちもあります。科学的なことを書いているので、本当に信用できる情報なのかと疑う方もいるかもしれませんので、私のこれまでの医科学の業績を数字だけで言いますと、論文は200報程度あり、そのうち国際的な学術論文は半分くらいですね。研究者としての質は、書いた論文がどれくらい他人の論文に引用されたかで図られることが多いのですが、トータルでだいたい2000報くらいの論文に引用されています。若手でもありませんし、研究歴は30年くらいになりますね。"知りたい!”という想いだけで突き進んできて、研究人生の全てが大学という幸運に恵まれましたが、大出世もなく、大して有名でもない愚研究者です。😵 私を信用して、少しでも新型コロナについての知識欲がある方は読んでいただければ幸いです。

さて、科学が発展してきた現代でも、初体験の新型コロナウイルスの感染に、第一波の時点では対処する術はなく、三密を避けゆっくりと感染拡大させることにより医療崩壊の回避を目指すしかないわけですが、現時点で、大きな問題の一つは、感染で重症化した人に観られるサイトカインストームによる急性肺炎なので、これをなんとかしたいという思いでこれまで5回記事を書いてきました。肺炎を治す術が見つかれば、リスクが高いと言われているおじいちゃんやおばあちゃんを助けることもできますね。そこで今回は、これまでにこのブログで出てきた対処法がどういう科学的根拠に基づくものかということを纏めてみたいと思います。

これまでの記事には出てきていませんが、まず誰もが『喘息などの急性の炎症性疾患で処方されるステロイド剤は使えないのかな?』と考えるかもしれませんね。実際にステロイド剤を新型コロナの急性肺炎に応用した医療機関はちゃんとあり、低濃度で一時的な使用での効果はありそうですが、WHOはこの適用を推奨していません。

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30317-2/fulltext

部分的ヒト化抗体のトシリズマブ(Tocilizumab: 日本の薬 中外製薬の製品名はアクテムラ)と、同様の作用で、完全ヒト化抗体のサリルマブ(Sarilumab: フランスのサノフィ社の製品名はケブラザ)を投与する

抗体製剤です。サイトカインストームを引き起こす生理活性物質の一つにインターロイキン(IL)-6という炎症性の物質があるのですが、この効果を抑えるために、IL-6の受容体に結合して効果を発揮できないようにする薬です。関節リュウマチのようなIL-6の異常値を伴う疾患にも利用されますね。がんの免疫療法の重大な副作用にサイトカインストームがあるので、がん免疫研究者には馴染みの薬です。新型コロナでの急性肺炎への応用は既に始まっていて、臨床治験ではかなりの有効例があり、期待できそうですよ。それから、IL-6を含め炎症を起こすいろいろな生理活性物質の受容体から入る細胞内シグナルの阻害薬に、ルキソリチニブ(Ruxolitinib)という薬があるのですが、これも有望そうです。

https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04315480

https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04334044

間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell)を入れる

間葉系幹細胞は、 神経や筋肉や軟骨や脂肪の細胞に分化する幹細胞のことで、骨髄や歯の髄質や脂肪組織から分取できます。最近、その強い炎症抑制作用が注目されている細胞です。この細胞の素晴らしいところは、がん組織や炎症部位に集積する特徴を有することで、新型コロナの患者さんに入れれば、肺炎症を起こしている部位に集まり、局所だけで炎症を鎮めてくれることが期待できます。実際に間葉系幹細胞を新型コロナの患者さんに応用した論文があります。

http://www.aginganddisease.org/article/0000/2152-5250/ad-0-0-216.shtml

制御性T細胞(Treg)の免疫抑制活性を利用する

人が花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギーや関節リュウマチなどの自己免疫病にならないで健康でいられるのは、Treg細胞という穏やかに獲得免疫を抑制する細胞が日頃から頑張ってくれているからなのです。Treg細胞の免疫抑制機能を新型コロナの肺炎に応用することも可能だと思いますが、調べた限り、まだ論文や報告は見当たりません。Treg細胞の存在を世界で初めて見つけた方は日本の有名な研究者ですが、頑張ってもらいたいですね。

このブログでは、もう一つ新型コロナの急性肺炎治療で有効かもしれないある分子に注目しましたが、これについては作用が難しいので、また後ほど気が向いたら書きますね。

ウイルス学者ばかりの新型コロナ対策会議では、『ウイルス感染の防御はどうしたらいいか』や『ウイルスに対するワクチンはどうしたらいいか』ばかりに目がいきがちで、重要な免疫領域からの考察が少ない気がします。IL-6を発見したのもトシリズマブを開発したのも日本の超有名な免疫学者ですから、もっともっと免疫学者が国に働きかけて欲しいですね。

また勉強してきまーす。

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2020年4月14日 (火曜日)

子供は新型コロナウイルス感染(COVID-19)で重症化しにくいようですね。

みなさん

三密(密閉、密集、密接)を避ける、すなわち新型コロナの感染拡大をゆっくりにして医療崩壊を防ぎ、できたら感染率も下げたい、という世界の基本的な方針はよく解るんですけどね。COVID-19は100年に一度の非常事態と言われても… やっていることは100年前とあまり変わらないわけで… 人間の無力さに悲しい気持ちになりますね。このブログでは、風邪系の新型コロナの感染症では、重症化した患者さんが死に至るのはサイトカインストームによる急性肺炎が原因なわけですから、肺炎の治療に専念するべきであり、ウイルスのような抗原性の高い異物に対するT細胞やB細胞による免疫は自力で自然につくので、肺炎の治療が行われるようになれば、感染を極度に心配する必要はないと思います、という立場で話を進めてきました。まぁ三密よりは進歩した考え方ですね。この考え方の利点はまだまだあって、多くの軽度の患者さんを隔離する必要はないので医療崩壊になりにくいし、風邪系のウイルス感染では、軽度の時が一番ウイルスをばらまいていて(新型コロナ感染では、症状が現れる前が一番ばらまいているようです)、肺炎まで進行した患者さんはもうあまりウイルスをばらまかない特徴があるので、治療にあたる医療関係者の負担も軽減されると思うのです。それにね、今後繰り返し起こるであろう新たなコロナウイルスによるパンデミックにも対応できるようになると思うし、何よりも経済をストップさせる必要もないのです。でもね、急性肺炎に処方できる候補薬はいろいろあると思うのですが、世界で議論がなされていないように感じているので… これをなんとかしなければと思っているのです。

話が逸れましたが、SARS-CoV-2という新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)の論文やら記事やらを、いろんなことを考えながらつらつらと眺めていると、2月〜3月の中旬までは『子供は新型コロナに感染しにくいのかも』みたいな記事を多く見かけたのですが、最近は『子供は新型コロナに感染するが重症化しにくい』という内容の報告が多いことに気がつきます。小さなお子様がいるご家族には朗報ですね。いろいろなデータを見ましたが、これは事実のようです。世界のいろいろな病院で、だいたい15~18歳未満の小児の新型コロナで入院した人数とその中で重症化した人数がデータとして示されているのですが、重症化した人数はどこの病院もほとんど0人です。

子供と大人では免疫を担ういろいろな細胞の割合と分布が少しずつ違うので、この事実は大変興味深いです。前回の記事で記した自然免疫という免疫機構を担う細胞の中には、まだお母さんの中にいる胎児期から新生児期の時にだけ作られる自然免疫細胞があって、それ以降は死ぬまで作られることはなく数を減らしていくので、当然その細胞を介した自然免疫応答は子供の方が大人より強くなります。獲得免疫を担うT細胞が作られるピークは10代の頃で、20代の後半くらいから徐々に作られなくなります。したがって、T細胞機能は駆け出しの大人の頃がピークになります。現時点で、子供の新型コロナ感染での重症化しにくい理由を科学的に説明することはできませんが、もしかしたら、子供の頃の免疫応答を必死で調べれば、新型コロナ感染で起こるT細胞の暴走による急性肺炎の完璧な治療法やBCG接種との関連が判るかもしれませんね。

また、勉強して色々お知らせしますね。

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2020年4月12日 (日曜日)

新型コロナウイルス(COVID-19)とBCGとの関連について考えた。 その3

みなさん

新型コロナウイルス感染症(COVID-19: SARS-CoV-2ウイルスによって発症するウイルス性呼吸器疾患と定義されています)の日本での感染拡大も、そろそろピークに達して欲しいと希望的に思っている私です。みなさんは大丈夫ですか? 今まで3回の新型コロナに関する記事を書いてきて、だんだんCOVID-19に詳しくなってきましたねぇ〜 目に見えない病原体で起こる病気では、知識がないと不安が募るばかりで、少しずつ実態が見えてくると、なぁ〜〜んだと感じられるようになりストレスが減りますね。健康な心を保つためにも一緒に勉強しましょう〜😃

前々回の記事で『幼い頃のBCG接種が、何十年も経って新型コロナの感染または重症化になんで効果を発揮するの?』という疑問を書きましたが、今のところ世界の免疫学者がこれについて明確な回答を持っていません。ですから、今回の記事はこれまでの医学研究結果から考えられる可能性をつらつらと記載しますね。

新型コロナウイルスを含めウイルスを特異的に認識して、しかも長期記憶を持つT細胞(ウイルス感染細胞を排除する)やB細胞(抗体によりウイルス自体を排除する)による免疫応答は『獲得免疫』と呼ばれ、人間を含めた高等な生物しか持っていません。一方、前々回の記事でも記しましたが、BCGのような免疫賦活剤で活性化する非特異的な免疫応答は『自然免疫』と呼ばれ、下等な生物にも存在します(高等な生物は両方持っています)。下等な生物は、一般的に寿命が短いですから、長期記憶などの獲得免疫は必要ないのでしょう。これからは獲得免疫と自然免疫という言葉を多く使って話を進めますね。

よく、インフルエンザとかに罹って治った後の会話で、『免疫がついたから治った』みたいなことを言いますが、この時の免疫とは獲得免疫のことです。新型コロナウイルスを含め、ウイルスに対する獲得免疫は激しく強いので、世界のウイルス免疫学者のほとんどは獲得免疫の研究者で、自然免疫の研究者はほとんどいません。ですから、BCGと新型コロナ感染との関連がわからないのです。

自然免疫は獲得免疫よりも早く現れて、ウイルスのような異物が体に侵入してから獲得免疫が動き出す5〜7日目の頃には既に衰退しています。このことから、自然免疫はウイルス感染の初期防御に関係していると免疫学者の誰もが思っていますし、きっとそうなのでしょう。しかも長らく自然免疫には獲得免疫のような長期にわたる記憶機能がないと信じられてきたので、獲得免疫の成立における自然免疫の役割が重視されることはありませんでした。でもね、進化の過程で、獲得免疫は自然免疫よりも後にできた新参者ですから、トラブルを起こさないように、自然免疫という古参者とは協調して成り立っているはずです。調べると確かに、2000年頃のがん免疫学や生殖免疫学の研究で、自然免疫が獲得免疫の成立に重要である、または自然免疫が獲得免疫の方向性を決定づける、みたいな報告がちょこちょこ観られます。がん免疫学分野では、ナチュラルキラー(NK)細胞や好中球という自然免疫細胞が、がんを強力に排除できるT細胞の活性化に重要とする論文が、生殖免疫学分野では、胎児を拒絶するような母体のT細胞の活性化が、胎盤に常在する自然免疫細胞により抑えられているという論文があります。

新型コロナ騒ぎがあってから、久しぶりに自然免疫に関する論文を紐解いていて驚いたのは、最近、自然免疫記憶(英語では"Innate Immune Memory"または"Trained Immunity")という概念が出現しているのを知ったことで、実験にはBCGなどを使ってこの自然免疫の記憶機構を証明しているのです。簡単に言うのはかなり難しいですが… ものすごく要約すると、BCG(結核菌)などで刺激を受けた自然免疫細胞は、エピジェネティックな変化(遺伝子発現の長期にわたる変化)を起こし、似たような細菌の体への侵入に長期に渡り抵抗性を示すというものです。現時点で、自然免疫記憶現象がT細胞などの獲得免疫にどう関係するのかは定かではありませんが、この考え方は、幼い時のBCG接種と新型コロナウイルス感染抵抗性を考える上で大変重要だと思います。

自然免疫記憶(BCG接種)は、新型コロナに対する獲得免疫を高めているのかなぁ〜 だとすると前回の記事のサイトカインストームによる肺炎になる確率は高くなりそうだしなぁ〜 もしかしたら、サイトカインストームなど獲得免疫の暴走を防ぐのに役立っているのかもしれないなぁ〜 まだまだ勉強が足りないなぁ〜 また何かつかんだらお知らせしますね。

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2020年4月11日 (土曜日)

新型コロナウイルス(COVID-19)とBCGとの関連について考えた。 その2

みなさん

写真ブログの記事から一転して、再開後は、新型コロナに関する諸々のことを文章で書き連ねておりますが、まぁどうかお許しくださいね。在宅勤務の方もおられるでしょう。学校が休みで暇を持て余している方もおられるでしょう。やり場のないストレスが襲ってくることもあるでしょうが、このブログは夜景とイルミネーションの写真記事もあったりしますから、そんな時は写真も観たりして、心を和ませていただけたら幸いですよ。

さて、前回の記事で『幼い頃に受けたBCG接種が、どうして大人になってから新型コロナ感染または重症化を防いでいるか』についての疑問を書きました。前々回の記事では『新型コロナ治療は肺炎を治すことに専念するべきだ!』ってなことを偉そうに書きました。この考えは今でも変わっていませんが、私は職業柄、免疫については詳しいのですが、肺炎については専門外なので、前回の記事の疑問に応えるためには、新型コロナによる肺炎に詳しくならなくてはと思い、ここ数日結構真剣に勉強しました。

肺炎には細菌性の肺炎とウイルスによる肺炎がありますが、細菌に対してはいざとなったら抗生剤という魔法の一手があるので、現代においてはそれほど問題になりません(まぁ抗生剤抵抗性の獲得は常に問題ではありますが)。これに対して、ウイルス性の肺炎の場合は、ここぞの薬がありません。しかしながら、人の体の中に備わっている免疫機構という観点からいえば、細菌に対する免疫力よりも、ウイルスに対する免疫力の方が圧倒的に強いし、しかも長期記憶を作ることができるので、前々回の記事で、体の中からウイルスを排除するという観点では新型コロナウイルス感染をあまり心配することはないと言ったのです。

では何故、新型コロナ感染では重症化から肺炎による死亡が起こるのでしょうか。実は、ウイルスに対する強い免疫力がこのことと大きく関係します。新型コロナが体に侵入すると、T細胞という強力な免疫細胞がウイルス感染細胞付近で局所的に活性化し感染細胞を排除します。新型コロナに感染しても自覚症状が無い人やちょっとした発熱ですんだ人は、この局所的な免疫システムが円滑に働いた、もしくは働いている人と言えるかもしれません。ところが、重症化する人というのは、ウイルスに対するT細胞の強い免疫力が暴走し、全身で活性化するようになり、ウイルス感染細胞付近だけで放出するべき炎症を起こすような生理活性物質が大量に全身で放出されてしまった人なのですこの暴走は短時間で起こるので、新型コロナ感染で肺炎への重症化が短時間で起こるのはこのためですし、CT画像診断で両肺での薄い影が現れるのもこのためです。

この生理活性物質の短時間での大量の放出は、学問的には『サイトカインストーム(サイトカインの嵐)』と呼ばれ、新型コロナ感染による肺炎の治療にこのサイトカインストームを抑える考え方が、最近ちょこちょこ報告されています。がんの治療では、近年免疫治療が脚光を浴びていますね。がんの免疫治療後の重大な副作用としてサイトカインストームがあります。これに対処する方法として、炎症性の生理活性物質の一つであるインターロイキン(IL)-6を働かなくするためにトシリズマブという薬が使われますが、新型コロナでの肺炎にも応用する動きが観られます。Annals of Internal Medicineという内科学雑誌の論文で、サイトカインストームを起こして死亡した新型コロナの患者さんの肺は、肺が穴だらけでズタズタになっているが、新型コロナウイルス自体は全く存在しないとの報告もあります。この報告からも、患者さんは、自力でウイルスの排除はできたにもかかわらず、免疫の暴走により死亡してしまったことが伺えます。

前々回の記事では、ウイルス感染細胞除去の機能は保ちつつ、T細胞の暴走を抑えるにはどのような方法があるかについて考えました。T細胞の暴走をあまり抑えすぎると、ウイルス感染細胞を除去できなくなる可能性もあり、穏やかに抑える方法を模索したのです。その時は書き忘れましたが、トシリズマブも新型コロナでの肺炎に今すぐに使える有力な候補薬の一つですね

今回の記事を踏まえ、新型コロナ感染または重症化とBCGとの関連についてさらに考えてみましょう〜

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2020年4月 8日 (水曜日)

新型コロナウイルス(COVID-19)とBCGとの関連について考えた。 その1

みなさん

新型コロナウイルス(COVID-19)感染は、今や非常事態宣言が出る事態になっておりますね… どうか衛生管理や行動管理をしっかりしてこの難局を乗りきりましょうね我が東京もどうなってしまうのだろう… 私は自分の管理が大変苦手です…

ところで、この新型コロナ感染症とBCGワクチンとの関連がちょっと前に話題になりましたが、確かに、BCGワクチンを実施した国では、新型コロナ感染者数の爆発的な増加が抑えられていますね(これは統計的に確かそうです)。BCGと似た薬としてピシバニールや丸山ワクチンなどがありましたが、これらとの関連についての論文は今のところ無いようです。私は、BCGが新型コロナウイルスの感染に効いているのではなくて、肺炎など重症化の抑制に関わっていると思っていますが… どうでしょうか。

BCG、ピシバニール 、丸山ワクチンは、日本語では『免疫賦活(活性化)剤』、英語では『Biological Response Modifier』と呼ばれ、まぁ簡単に言うと菌体成分ですね。BCGは結核のワクチンですから結核菌の菌体成分です。これらの免疫賦活剤は、体全体の免疫を非特異的に活性化させることができるため、BCGなどは今でも膀胱がん治療に使われていますね。

これに対して、今血眼になって新型コロナウイルスに対するワクチンを作ろうとしていますが、これらは全て新型コロナウイルスにしかないタンパク質に対してT細胞による強力な免疫反応を起こさせるもので、新型コロナに特異的なワクチンです。T細胞をウイルス攻撃の本体として利用するワクチンのメリットは、T細胞には記憶システムがあるので、ワクチンを行ってから数年経って同じウイルスが体内に入っても、すぐに排除してくれることです。でもデメリットもあって、似てるけど非なるウイルスには全く効果がないのです。新型コロナに対する特異的なワクチンは、そう簡単にはできないでしょうから(実験的にはすぐにできても、たとえ国家の希求性が高かったとしても、人間に応用する場合にはしかるべき手続きに時間がかかるでしょうからね)、多くの人が自力でT細胞による新型コロナに対する免疫力を獲得し、感染者数が減少し始めた頃に"できた!"ってなことになると私は思っています。

BCGなどによる非特異的な免疫反応は、それに関わる免疫細胞の特徴として(T細胞のような記憶力がないので)、長く効果が持続するとは考えずらいのです。ですから、子供の頃のBCG接種が大人になって新型コロナ感染に何らかの効力を発揮しているということに、免疫学者の誰もが首を捻るわけです。そこにはなにか重要な科学がありそうです。考えてみましょ〜

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2020年4月 3日 (金曜日)

新型コロナウイルス(COVID-19)で死なないために

みなさん

写真ブログの更新を止めてからずいぶん経ちますが、このブログを見てくださっていた方々はお元気ですかね? 最近は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)で世界中が大変なことになっていますが、みなさんが健康でいられることを祈るばかりです。😠

さて、私は職業柄、COVID-19の対処法として一つの提案をしたくなり、今回久しぶりにブログを更新しました。ウイルスにどう立ち向かうか、世界中が感染を止める、または感染拡大を緩めることだけに右往左往しているように感じます。マスクをどうのこうの、ワクチンをどうのこうの、既存の抗ウイルス剤が使えないか云々…  しかし、直径が100 nmより小さい目に見えない風に漂うウイルスの感染予防の対処法ばかり考えていても、運が良かった人だけが感染しない、免疫が特別に強かった人だけが感染しない、ということになるだけだと感じます。そもそも体の中にはウイルスに立ち向かうために進化の過程でできたT細胞やウイルスに結合できる抗体を作るB細胞という強力な免疫細胞がいるので、新型コロナウイルスのような風邪系のウイルスを過剰に怖がる必要はないと思うのです。

では、新型コロナに感染して何が一番問題か?

死と直結する肺炎だと思います。

肺に炎症反応が起こり、肺が硬くなり柔軟性を失い、呼吸できなくなることが一番の問題だと思います。従って、肺炎を抑えることさえできれば、ウイルスの感染で亡くなる人は激減するはずです。

では、どうしたら良いか。

炎症はT細胞やB細胞も関わる免疫反応です。T細胞やB細胞はウイルス排除の重要な免疫細胞です。

T細胞やB細胞の機能をあまり落とすことなく(ウイルスの排除機構を保ちつつ)、肺炎を抑えることが重要です

体の中には、穏やかに炎症反応やアレルギー反応を抑える機構も備わっています。健康な人が、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギーにならないのは、その機構のお陰なのです。従って、この機構を新型コロナウイルス感染に応用すれば、T細胞やB細胞の機能をほとんど弱めることなく、肺炎は鎮まるはずです。

免疫学的に考えられることとしては(私が思いついたこととして)、新型コロナウイルス感染後に肺炎を起こし重症化しそうな患者さんに、

1)アレルギーを抑える役目を持つ制御性T細胞(Treg細胞)の機能を増強させる。

2)一時的に穏やかな全身性の免疫抑制状態を形成させる(候補としてBTN3A分子の刺激など)。

3)抗炎症作用があり、既に臨床で使われている間葉系幹細胞を培養して入れる。

が考えられます(今すぐにはこれくらいしか思いつきません)。どうしてと言われると難しい話なので説明はしませんが、1)や3)は日本に有名な先生がいらっしゃいます。2)は私が有力候補だと思っているだけです。現時点では3)だけがすぐに臨床に使えるかもしれません。

新型コロナウイルスによる肺炎で死なないために、今できることは、ウイルスの感染を防ぐことだけなのだろうか…

ここに書いたような視点でも、議論がなされると良いですね。

みなさま、身体には十分気をつけてお過ごしください。

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